詩、小説、エッセイ

2009/08/02

俵万智の短歌

 この坂を越えれば海へ続く道

              黄色の信号するりと抜ける

  B

花屋からもらったカレンダーには、短歌作家《俵万智》の歌が載っています。

小さめのカレンダーなのでトイレに飾ってますが、毎月ステキな花と短歌が載っていてカレンダーを捲るのが楽しみです。

   clover~俵万智さんといえば~clover

1987年に出版された第一歌集《サラダ記念日》がベストセラーになり話題を呼んだ短歌作家です。

福井県で育ち、早稲田大学時代に佐佐木幸綱の授業をうけたのが縁で短歌を始め、神奈川県橋本高校勤務時代、1986年に「8月の朝」で角川短歌賞を受賞しました。

現在は1児の母となられ、仙台にお住まいです。

     clover       cherry        clover

私が万智さんを知ったのも《サラダ記念日》が始めでした。

tulip「この味がいいね」と君が言ったから

                    7月6日はサラダ記念日

こんなかわいい短歌をつくる人がいるんだ~と、それまでの短歌の対する認識が変わりました。

短歌というと叙情的なものが多く、現代的な短歌は前衛的で難解という感じをもっていましたが、俵万智の歌を受け入れる柔軟性がある世界なのだと妙に感心して、時々短歌集を読むようになりました。

「サラダ記念日」はキラキラした若さが溢れた瑞々しい歌ばかりです。

若い女性の恋と日常が、普段の言葉で、しかし万智さんによって選び抜かれた言葉で歌われています。

   Photo

       「8月の朝」の章が好き

clover吾をさらいエンジンかけた

            八月の朝をあなたは覚えているか

cloverまだあるか信じたいもの欲しいもの

               砂地に並んで寝そべっている

clover左手で吾の指ひとつひとつずつ

                さぐる仕草は愛かもしれず

clover君を待つ土曜日なりき

           待つという時間を食べて女は生きる

clover「じゃあな」という言葉いつもと変わらぬに

                  何か違っている水曜日

clover同じもの見つめていしに吾と君の

                何かが終ってゆく昼下がり

clover君を待つことなくなりて

              快晴の土曜も雨の火曜も同じ

      shine                   yacht                    shine

こんなふうに、恋する感覚が素直に歌われていて、

     《やってくれるじゃないの~》と思ってしまいました。

今、読み返してみると昔の日記を読むようで不思議なかんじがします。

cherry こ~んな時代が確かに私にもありましたっけねえ~

             みなさんにもあったでしょ?

            01120021

 

  

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2009/04/18

甃のうへ

     cherryblossom  三好達治詩集より   cherryblossom  

    甃のうへ

    あはれ花びらながれ

    をみなごに花びらながれ

    をみなごしめやかに語らひあゆみ

    うららかの跫音空にながれ

    をりふしに瞳をあげて

    翳りなきみ寺の春をすぎゆくなり

    み寺の甍みどりにうるほひ

    廂々に

    風鐸のすがたしづかなれば

    ひとりなる

    わが身の影をあゆまする甃のうへ 

   411  

三好達治の第一詩集「測量船」の中でも私が一番好きな詩です

達治の詩は美しい調べの中に、青春の憧憬と孤独がちりばめられて、その叙情性は透明感のある淡い水色の空を思わせます。

学生時代、国語の時間に詩の朗読や暗誦をさせられませんでしたか?

私は、詩だけでなく「徒然草」「枕草子」なども暗誦させられた記憶があります。

当時は、暗誦なんてしなくても読めればいいじゃないか…と思っていましたが、暗誦できる程何度も声に出して読むのはなかなか良いことだと今は思います。

「春はあけぼの、やうやしろくなりゆく、山ぎは少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる…」 なんて今でも諳んじられるのは気持ちの良いものです。

何十年もたつのに諳んじられるということは、それだけ深く脳裏に刻み込まれて、身体に沁みこんでいるということです。

音楽でも、発表会などで弾くために暗譜した曲、夢にでてくるほど練習した曲は何十年たっても指が覚えていてくれます。

それらはつまり、私自身の身についてくれたということ、私という人格を形成する素となってくれたということです。

今の私が当時と同じように暗記しようとしたら、おそらく10倍の時間が必要でしょうね。

鍵盤楽器を弾いていると、それがよくわかります。

ということで、脳の老化防止のためにも、

              皆様、美しい詩を朗誦しましょう 

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2009/02/23

死神の精度

  ☆ book 死神の精度 

《ACCURACY OF DEATH》

ちょっと洒落たタイトルじゃありませんか

作者の伊坂幸太郎は在仙の作家で、吉川英治文学新人賞や新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しています。

この作品でも日本推理作家協会賞短編部門受賞…と帯に書いてありました。

book 小説のタイトルって大事ですよね。

読みたい気持にさせてくれるタイトル、惹かれるタイトルって確かにあるし、売れる小説はみなタイトルがイイsign01

内容が良くても地味なタイトルだったり、惹き付けられるキャッチコピーがないと読者が飛びつかないので、出版社の担当もタイトルには気を使うらしいですよ。

       さて、肝心の内容は 

死神と何の取り得もなさそうなさえないOLの物語

死神は死を予定された人間を1週間観察して《可》か《見送り》かの判定を下すのが仕事。

その仕事のために、さえないOLに接近して多少なりとも彼女の生活に関わることとなり、話が発展していく。

得体の知れない死神が音楽好きで、CDショップの視聴コーナーに入り浸りだったりする設定はなかなか面白い。

後の5編の題名は

「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「旅路を死神」「死神対老女」

おそらく英語表記のタイトルを和訳したものでしょうが、いかにも陳腐なタイトルだと思いませんか?

「死神の精度」のセンスには程遠い…catface

題名はさておき、「恋愛で死神」「死神対老女」の2編は面白く読めます。

特にこの連作の〆ともいえる「死神対老女」は、前の作品との関連づけもあり、シリーズの最終章としては「ああ~そういうことかあ…」と、作者の構想力に拍手を贈りたくなります。

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2008年3月、映画化されています。

「死神の精度」「死神と藤田」「死神対老女」をもとにして作られています。

死神「千葉」に金城武はぴったりなキャスティングだと思います。

まだ、見ていませんがどんな風に映画化されているか、興味がわいてきます。

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2008/07/23

ターシャの庭

写真集 ☆ターシャ・テューダーの庭☆

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ターシャは90歳になる絵本作家のおばあさんです。

アメリカ・バーモント州の山の中、30万坪の敷地に数々の花とヤギやニワトリやハトたちと暮らしています。

息子がひとりで建ててくれた母屋、納屋、温室、ヤギ小屋などが点在する森全体をターシャは「コーギコテージ」と呼んでいます。

自然の姿を保つように育てられ、手入れされた樹や花たちが溢れるワイルドフラワーガーデンの四季折々の姿やターシャの暮らしぶりが写真集になったものです。

☆ 先日、NHK-BShiで放送されていました。

ずいぶん前にNHK総合でも放送され、私はそれを見てからすっかり彼女のファンになってしまいました。

本屋さんに、写真集が何冊かとDVDもありましたが、何しろ写真集はお高い…1冊だけ買って我慢 coldsweats01

美しい庭、うつくしいおばあさん、心癒される1冊です。

こんなおばあさんになれるのなら、90歳も悪くありません。

ポケポケhollyは、無謀にも和製ターシャを目指す…心意気だけでもネ

あくまでも、心意気 coldsweats01 です catface

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2008/07/19

イギリスはおいしい

先週読んだ本…正確には、先週も読んだ本

book イギリスはおいしい

book イギリスは愉快だ

この2冊は5年前くらいに買ってから、毎年1~2回読んでいます。

著者は《林 望》はやし・のぞむ…東京芸大の助教授です。

林望(りんぼう)先生がイギリス留学中に滞在したボストン夫人のマナーハウスを中心としたエッセイです。

「イギリスはおいしい」は日本エッセイストクラブ賞を受賞

「テーブルの上の雲」「ホーソンの樹の下で」等、洒落たエッセイがたくさんあります。

りんぼう先生にとってイギリスは、とても居心地の良い国だったようです。

それはイギリスの風土や、歴史、イギリス的個人主義の心地よさが、りんぼう先生の人柄とマッチして品格のあるものだったからなのでしょう。

イギリスは食べ物が美味しくない国として名を馳せていますが、そのとうりだったようです。

イギリス人は塩味に鈍感な人種らしい…食卓においてある塩をかけないと、たいていの料理は塩味がないそうな。

なんでも、イギリスの料理本には「野菜は20分~40分茹でる」と書かれてあるそうな…

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2008/07/17

夏に読む本

☆流れる星は生きている☆

著者…藤原てい

作家の新田次郎氏の奥様です。

新田氏が気象庁勤務で赴任された満州で終戦を迎え、3人の幼い子どもをかかえて内地へ引き揚げてこられるまでの物語です。

ご主人の新田氏は応召され、乳飲み子を背負い、2人の子の手を引いて、トラックの荷台に乗ったり、貨物列車の屋根もない貨車に詰め込まれたり、歩いて山越えをしたりと、苦労の連続。

あの時代、満州で終戦を迎えた人たちのほとんどが、同じような体験をしたのだと思うと、胸が詰まる思いです。

残留孤児の報道があった時に、「自分の子を手放すなんて」と非難めいた考えを持ったことを、後悔しました。

極限状態におかれた若い母親たちが、せめて子どもだけでも生きて欲しいとの思いでとった行動を非難することなどできません。

引き揚げの人々の中での人間関係も描かれていて、こういう状況の時にこそ、人間の本質、個人個人のもつ資質が現れるし、問われるのだと思いました。

読んでいくうちに、涙が止まらなくなってしまう、辛いお話ですが、一家は幸い無事に内地へ帰ることができます。

心が重くなるお話しですが、ぜひ、若い人たちに読んでもらいたいです。

特別な話ではなくて、たくさんの母親たちが体験した事実、私達の身近にも同じ体験をした人たちがいたはずです。

この本を読むと、戦争を生き抜いた人たちには勝てないなあ、もし、私が同じ立場だったら果たして彼女のように、強く毅然とした母親でいられただろうか?と考えてしまいます。

私はこの本を図書館で知りました。中高生の夏休み図書コーナーのような所でみつけました。やはり、戦争体験の本を読むのは大切なことですね。

今の私達が、どれほど幸せなのかをあらためて感じます。

昨年読んだのですが、当時のことを思い、しばらくはキャベツの外葉も大根の皮も捨てられませんでした。

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たまには、こんな読書も必要ですね。

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2008/04/26

谷川俊太郎のつづき

☆地球があんまり荒れる日には☆

地球があんまり荒れる日には  

僕は火星に呼びかけたくなる

  こっちは曇りで

  気圧も低く

  風は強くなるばかり

  おおい !

  そっちはどうだあ

  月がみている

  全く冷静な第三者として

  沢山の星の注視が痛い

  まだまだ幼い地球の子等よ

地球があんまり荒れる日には

火星の赤さが温いのだ

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shineこの詩も「20億光年の孤独」の中に収められています。

 おもしろいタイトルでしょう?

「20億光年の孤独」は俊太郎が21歳の時に出版されています。

18歳で詩を書き始めているので、これらの作品は青年期というより、少年期に書かれたといってもいいかもしれませんね。

   

night 詩を読む楽しみは、全くの個人的な楽しみのように思えます。

学校の国語の時間に、読み解きかたや解釈つきで習いますが、詩の解釈ほどナンセンスなものはない…というのが私の考えです。

自分の好きな詩は、何度も読んでいると、ひとつひとつの言葉のすきまから、詩人の歓びや哀しみが滲み出てきて、評論家の先生の小難しい解釈なんか飛び越えて、自分の心の中に入り込んできてくれます。

でも、これは自分の好きな詩の場合で、2・3度読んでも言葉がひっかっかってこない詩のときには、さっさと忘れてしまいます。

そんなふうなので、社会的に評価の高い詩と、私の好きな詩はずいぶんと違っているかもしれません。

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2008/04/24

20億光年の孤独

 shine 20億光年の孤独 shine

人類は小さな球の上で

眠り起きそして働き

ときどき火星に仲間を欲しがったりする

火星人は小さな球の上で

何をしてるか 僕は知らない

(或はネリリし キルルし ハララしているか)

しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする

それはまったくたしかなことだ

万有引力とは

ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる

それ故みんなはもとめ合う

宇宙はどんどん膨らんでゆく

それ故みんなは不安である

二十億光年の孤独に

僕は思はずくしゃみをした

   

   谷川俊太郎の第一詩集「二十億光年の孤独」より         

     shine         night        shine  

俊太郎は達治に認められて、詩集をだすことになったのです。

この詩集には、三好達治が序詩を贈っています。 

 

 この若者は

 意外に遠くからやってきた

 してその遠いどこやらから

 彼は昨日発ってきた

 十年よりもさらにながい

 一日を彼は旅してきた…

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二人とも、私の好きな詩人。

少年のように瑞々しくて美しい

         そして淋しくて哀しい詩だ。

その淋しさと哀しさのすきまから

    生きる歓びが密やかに零れてくる。

  

    shine        night        shine

      

   

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